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日本の若者は将来に対して悲観的?~STEAM教育のその先へ~

日本の若者は将来に対して悲観的?~STEAM教育のその先へ~

2024年03月12日

皆さんは、日本の若者が自分自身や国の将来に対してどのように考えているかをご存知でしょうか?

ポジティブに捉えているのか、ネガティブに考えているのか、科学技術の進歩によって社会が大きく変化していくなかで大人になっていく子どもたちがどう感じているのかを知ること(知ろうとすること)は大切なことだと思います。

 

現在の若者の考え方

まずは、以下の日本財団が2019年に発表した「18歳意識調査」の結果をご覧ください。

 

Q.あなた自身について、お答えください。(各設問「はい」回答者割合)

出典:日本財団「18歳意識調査」第20回テーマ:「国や社会に対する意識調査」(9ヵ国調査) https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2019/20191130-38555.html

 

これによると、日本の若者は全ての項目で最下位となっています。そこから、日本の若者は自分自身や社会に対してとても消極的であることが分かります。

 

わび・さびに代表される日本の伝統的な精神からすると謙虚であることは尊重されるべきことではあるかもしれません。しかし、これからの日本を担っていく若者の意識としてはいささか物足りなさを感じる方が多いのではないでしょうか。

 

次に、日本の若者は国の将来についてはどう思っているのでしょうか?

以下の調査結果をご覧ください。

 

Q.自分の国の将来についてどう思っていますか?

出典:日本財団「18歳意識調査」第20回テーマ:「国や社会に対する意識調査」(9ヵ国調査) https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2019/20191130-38555.html

これによると、日本の将来が「良くなる」と思っている若者はおよそ10人に1人しかいません。

 

これら2つの調査結果から、日本の若者のおよそ10人に9人が日本の将来に対して悲観的であるにもかかわらず、「自分の国に解決したい社会議題がある」と回答したのは46.3%で10人中5人未満しかいません。

そして、「自分で国や社会を変えられると思う」と回答したのは18.3%でおよそ10人中2人だけです。

 

日本の子どもの学力水準

素晴らしい才能を持って可能性にあふれている若者がこのように消極的であるのはなぜでしょうか。

日本の若者は、他の国の若者と比べて国や社会を変えることのできる能力が低いのでしょうか?

 

PISAというOECD(経済開発協力機構)が行っている国際的な学習到達度に関する2022年の調査によると、日本は参加した81か国・地域の中で、数学的リテラシーは5位読解力は3位科学的リテラシーは2位と3分野全てで世界トップレベルです。2022年だけ特別に良かったわけではなく、過去の調査結果でも常に上位を維持しています。

*参照:OECDの学習到達度調査PISA2022ポイント(文部科学省・国立教育政策研究所) https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2022/01_point_2.pdf

 

このような学力到達度調査の結果からすると、日本の若者が他の国の若者と比べて国や社会を変えることのできる能力が低いわけではなく、むしろ能力的には高いことがうかがえます。

 

若者が消極的な原因はどこに?

では、能力が高いにもかかわらず消極的であるのはなぜでしょうか?

以下の小中学生に対する調査結果をご覧ください。

出典:国際数学・理科教育動向調査(TIMSS 2019) https://www.nier.go.jp/timss/2019/point.pdf

 

これによると、算数・数学の授業を楽しいと感じる小中学生は世界の平均よりもかなり下がっています。また理科でも楽しいと感じる小学生は世界の平均よりも上ですが、中学生はかなり低くなっています。

 

また、以下の調査結果もご覧ください。

 

「数学を使うことが含まれる職業につきたい」(左)、「理科を使うことが含まれる職業につきたい」(右)と回答した中学生の割合の推移

出典:国際数学・理科教育動向調査(TIMSS 2019) https://www.nier.go.jp/timss/2019/point.pdf

 

これによると、数学や理科を使う職業に就きたいという中学生の割合は世界の平均よりもとても低くなっています。

 

理数系の学力が世界トップレベルなのにもかかわらず、このように算数・数学や理科の勉強を楽しいと感じる割合や、それらを使うことが含まれる職業に就きたい割合が世界の平均よりも低いということは、単純に日本は理数系に対する苦手意識のある子どもが多いからかもしれません。

しかし、原因は、それだけではなく、知識としての数学や理科は身についているものの、そこでストップしてしまっていて、身に付いた知識が社会や生活、仕事などにどのように役立つかをイメージできていないことが大きいのだと思います。

 

イメージ出来たら何か変わるか?

世界トップレベルの学力のある日本の子どもたちが、その身に付いた知識が社会などに具体的に役立つイメージを持つことができれば、社会や生活、仕事などへの見方が変わるはずです。

そして、見方が変われば、今よりもより深く社会や生活、仕事、またはその土台となる知識について考えられるようになり、子どもたちはより成長できることでしょう。

 

STEAM教育が、STEAMの各分野が複雑に関係する現代社会で、新たな価値を創造し社会の作り手となる人材として必要な能力の育成を目的としていることは、前回のブログの通りですが、そのような能力だけではなく、その能力を発揮して「自分で国や社会を変えていける」と思えるようになれることも必要だと考えます。

 

まとめ

日本の若者は自分自身や社会に対して消極的ではあるものの、学力水準は高いので、身に付いた知識が社会や生活、仕事などにどのように役立つかをイメージできるようにする機会のあることが大切になってくる。

 

先駆の小学生コースでは、先駆タイムで、「今、仕事をするならどんな職業につく?」というテーマで生徒それぞれ興味のある仕事について調べて、まとめて、発表したり、ホンダの子どもアイデアコンテストへ「困っていることを解決できるもの」をテーマに参加したりなど、単なる知識としての勉強にとどまらず、それらをどのように活かせるかを考えてもらえるような契機を積極的に作っています。

 


 

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